学科トピックス
2025.02.19
第4回 福岡コリアン・スタディーズが開催されました
2025年2月19日(水)、福岡大学にて第4回福岡コリアン・スタディーズ(国際ワークショップ)が行われた。今回のテーマは「植民地朝鮮における近代的学知の形成と京城帝国大学」であり、3名の発表者をお招きした。鄭駿永氏(ジョン・ジュンヨン、韓国・ソウル大学・副教授)は、「植民地支配のための学知:京城帝国大学の朝鮮学とその余波」というタイトルで、京城帝国大学を必要とした官(支配者/植民者)と民(被支配者/被植民者)のそれぞれの立場によって植民地朝鮮に設立された経緯、帝国日本の内地と外地の交錯的な知識体系(東京帝国大学と法文学部、京城医学専門学校と医学部、九州帝国大学農学部と水原農業高等学科、朝鮮総督府と対立する京城帝大など)についての内容であった。特に1924年の予科設置より20年ほどしか続かなかった植民地朝鮮における高等教育機関の知的遺産の問題(朝鮮半島と日本列島の両方)は、次の二つの発表とも関連していた。閔東曄氏(ミン・ドンヨプ、都留文科大学・准教授)は、「金基錫の思想と活動:「哲学」と「民族」のあいだ」というタイトルで、早稲田大学と東北帝国大学を卒業した金基錫の人生、1950年代の道義に基づいた倫理運動について発表した。最近私は1950年代の崔南善の歴史記述と倫理運動に関心があったため、50年代の李承晩政権下の倫理問題と思想的様相に関連して興味深かった。金旭氏(キム・ウク、韓国・ソウル大学・学術研究教授)の発表は、「日韓国交正常化に伴う京城帝大同窓会の訪韓と〈韓国〉認識」というタイトルで、京城帝大出身の日本人たちの同窓会活動、特に1965年の日韓国交正常化前後の様相と韓国訪問についての話であった。京城帝大出身の日本人たちにとって、彼らが学び過ごした京城は「青丘」「紺碧」の心の故郷であったが、植民地時代の京城と韓国のソウルが時の経過とともに遠ざかり変わっていったように、彼らにとっては次第に遥かに遠ざかっていく存在として残ったということが印象的だった。今回の国際ワークショップの講演・発表・質疑応答を通して、京城帝国大学の学知は、当時の京城帝大の設立意図と高等教育機関としての意義、そして戦後/解放後の両地域の社会と思想史における遺産、それらを共に考察することで、より立体的に理解されると思った。【文責:柳】
鄭駿永氏(ジョン・ジュンヨン、韓国・ソウル大学・副教授)
閔東曄氏(ミン・ドンヨプ、都留文科大学・准教授)
金旭氏(キム・ウク、韓国・ソウル大学・学術研究教授)
博多港引揚記念碑「那の津往還」(福岡市)にて
九州大学中央図書館(福岡市)にて