福岡大学 人文学部 福岡大学 人文学部

学科視点で見るあの映画、あの一冊

あの映画、あの一冊

文化学科

  • 映画舞台

    マイ・エレメント

    監督:ピーター・ソーン
    (C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

    火のエレメントを持つ娘エンバーが、水のエレメントの青年ウェイドと出会う恋愛物語、と見せかけて、実は女性の自立と成長がテーマとなっている作品です。興味深いのは、彼らが暮らす街の成り立ちです。移民としてやってきたエンバーの両親は差別によってまともな住宅を借りられず、やがて町はずれの建物に身を寄せるようになります。地理学における、都市部のセグリゲーション(住み分け)が発生するメカニズムがここで描かれているのです。移民二世であるエンバーが両親からの役割期待を内面化しすぎて自分の能力や適性を見逃している、という部分は社会学の役割研究との関連が見出せます。同じくディズニーのアニメ作品『ズートピア』と見比べてみるのもおすすめです。

  • 映画舞台

    リトル・ミス・サンシャイン

    監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス
    (C)2010 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

    社会学において、近代以降の家族は、親密な絆で結びついていることが特徴とされます。この作品では、そうした親密圏における家族の絆がなぜ現代社会で必要とされるのかがよくわかる作りになっています。主人公一家は、物語の中で誰一人として夢や目標を実現できません。職場や学校などの公的空間においては他人より優れているとか美しいとかいう軸で評価されますが、そこで必ず成功できるとは限りません。公的空間が我々の自尊心を損なうものになっているからこそ、無条件に自分の存在を肯定してくれる存在としての家族は大事にすべきなんだ、というメッセージが伝わってきます。感動させられる一方で、母親にだけ何も起こらないように見えるのはなぜかなど、色々と考えさせてくれる映画でもあります。

  • 漫画アニメ

    作りたい女と食べたい女

    著者:ゆざき さかおみ
    (C)KADOKAWA

    女性同士の友だち付き合いから恋愛に至る過程が丁寧に描かれている作品です。登場人物はみなどこかしら社会の決めてくる「普通」に違和感を覚えている人たちばかりです。特に主人公の野本さんが自分はレズビアンだと自覚するに至る場面で、同じ人型の型でくり抜かれたクッキーが描かれ、「まるでそれ以外の形になることは許されないみたいだ」という独白がなされるシーンは、社会規範があらゆる側面で生身の人間のあり方を規定してくる様を描写したものとして秀逸です。社会規範が勝手に決めてくる生き方に沿わなくてもよい、自分自身の幸せを優先してよいのだと背中を押してくれるとても優しい作品になっています。

  • ゲーム

    ナイト・イン・ザ・ウッズ

    メーカー:PLAYISM
    (C)2017 Infinite Fall. All Rights Reserved.
    Finji is a trademark of Finji, LLC in the U.S. and/or other countries. Infinite Fall properties are licensed to Finji, LLC by Infinite Fall. Trademarks are property of their respective owners. ©Active Gaming Media Inc. All Rights Reserved.

    アメリカの田舎町を舞台にしたアドベンチャーゲームです。主人公のメイは、大学を中退し地元に帰ってきて、友達と遊び、毎日町中を徘徊しながら住民とおしゃべりします。一見のどかな風景の中、炭鉱で栄えた町はすでに衰退してしまい、大人たちも職を失っていること、友達はみんな最低賃金かそれ以下の条件で働いていて夢を持つことも困難な状態であることが明らかになっていきます。産業構造の転換というマクロレベルの社会変動が、現実の若者たちに生きづらさをもたらすという社会学的な現象が身近に感じられ、日本との共通点をも見出すことができる物語になっています。

  • 漫画アニメ

    青野くんに触りたいから死にたい

    著者:椎名 うみ
    (C)講談社

    付き合いたての恋人が突然死んでしまい、ショックで自分も死のうとした主人公の前に、幽霊となった恋人の青野くんが現れます。しかし青野くんは様子がおかしく、学校や身の回りでも不思議な現象が起こり始めたため、主人公は同級生と一緒に民俗学的な手法を用いて怪異の謎を解き明かそうとします。「リトルミスサンシャイン」で家族が祝福として描かれたのと正反対に、この物語では、家族が逃れることのできない呪いとして現れます。ホラーとしても一級の怖さを持つ上に、後半では性暴力や児童虐待など精神的にきつい描写が出てくるので読む人を選ぶかもしれません。他方で若い女性の性的な欲望をここまで肯定的に描いている例も他になく、ぜひ読んでほしい作品です。

  • 漫画アニメ

    聖☆おにいさん

    著者:中村 光
    (C)講談社

    ブッダとイエスが東京のアパートで同居する、という設定のコメディ。仏教のブッダ、キリスト教のイエスという、本来ならば「共演NG」に思われる二人の「夢の共演」は、宗教の違いに寛容な、あるいは無頓着な日本文化の好例として、どうやら海外でも注目されたらしく、このマンガ作品は大英博物館の日本コーナーで展示された模様。仏典や聖書、様々な神話や伝説に取材した場面が多く出てくるので、仏教やキリスト教、ギリシア神話などについて勉強した上で読み直してみると、さらに楽しめるはずです。

  • 小説書籍

    忘れられた巨人

    著者:カズオ・イシグロ
    翻訳:土屋 政雄
    (C)早川書房

    神話について勉強することは、「神話は何を語っているのか?」と考えることであると同時に、「神話によって何を語ることができるのか?」と考えることでもあります。カズオ・イシグロはこの作品で、「神話」という語り方の持つ可能性の一つを示してくれました。この作品では古代末期のブリテン島を舞台に、老夫婦の旅を基軸として、騎士、鬼、竜というような、いわゆる「ファンタジー」の要素に満たされつつ、記憶、暴力、死などのテーマが丁寧に、印象的に描かれていきます。神話によってしか表現できないものがある、と予感させてくれる傑作です。

  • 映画舞台

    TENET テネット

    監督:クリストファー・ノーラン
    (C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved.

    哲学とSFは似ています。どちらもこの世界の「常識」を疑うことから始まり、異なる世界の在り方を思い描こうとするからです。しばしば哲学では、現実ではあり得ないような状況を頭の中で想像し、その状況について考えてみる、という「思考実験」が行われるのですが、多くのSF作品は、まさに哲学的な思考実験そのものでもあります。クリストファー・ノーラン監督のこのSF映画でも、ある斬新なアイディアが映像化されており、哲学の観点からも刺激的。できるだけ「ネタバレ」なしの状態で、ぜひ一度、ご覧下さい。

  • 漫画アニメ

    チ。――地球の運動について

    著者:魚豊
    (C)小学館

    地球は自転しつつ太陽の周りを公転していることを私たちは正しい知識として知っています。では、地球が動いていることを体感した人はいるでしょうか。もし動いているならば、真上に高く投げた石が元の位置に落ちるのはなぜでしょうか。科学的な知識は観察できる事実に基づいて出来上がっていると私たちは素朴に考えていますが、実際はそれほど単純ではなさそうです。人々は、当時異端とされた地動説にいかにして確信をもつことができたのでしょうか。この本をひもとけば、中世ヨーロッパにおける科学と宗教の関係をリアルに体験しつつ、科学革命と呼ばれる宇宙観の一大転換の真相の一端に迫ることができます。

  • 漫画アニメ

    藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス

    著者:藤子・F・不二雄
    (C)小学館

    『ドラえもん』の作者による、SF(サイエンスフィクションならぬ少し不思議な物語)短編集。不時着した星でミノアという美しい少女に出会う主人公。しかし、この星ではウシそっくりのズン類が支配者で、人間そっくりのウス類はその家畜。ミノアが食肉に供されることを何とか阻止しようとズン類にその残虐性を訴えますが、ズン類はピンときません。これは有名な「ミノタウルスの皿」の一シーン。ズン類がミノアを食べるのが残虐であるならば、私たちが牛を食べることは残虐ということになるでしょうか。他にも、存在しているのは私の意識だけではないかという独我論的感覚を取り上げた作品や、作者お得意のタイムパラドクスを扱った作品など、哲学的な素材に事欠くことはありません。

歴史学科

  • 映画舞台

    サンダーボルトファンタジー 東離劍遊紀

    原案・脚本・総監修:虚淵玄(ニトロプラス)
    (C)Thunderbolt Fantasy Project

    「まどかマギカ」「仮面ライダー鎧武」などのシナリオで知られる日本の脚本家虚淵玄と、台湾の伝統的エンターテイメント「布袋劇」との協力でうまれた剣撃アクションシリーズです。もともと布袋劇は現代のアニメ・ゲーム的表現を得意としているのですが、本シリーズ(ドラマ二作、映画二作)はより日本的なストーリー・キャラクター造形になっていて親しみやすい。その上で、「武侠もの」と呼ばれる長い歴史を持つ中華的英雄譚を知るにも恰好の作品です。ブラウザゲーム「刀剣乱舞」とのコラボ動画も発表されていますので、それらから一見してみてください。

  • 映画舞台

    もののけ姫

    監督:宮崎駿
    (C)1997 Studio Ghibli・ND

    宮崎駿監督が戦国日本を舞台に神々と人間の戦いを描いたアニメ映画。本作品には教科書に記されない日本史の論点がちりばめられています。たとえば、主人公アシタカは蝦夷の出身。敵役のエボシ御前は倭寇の元妻で、民族的多様性が示されます。人間と神々が争うきっかけとなったのは、製鉄にともなう樹木の過伐採。実際に当時発生していた自然破壊でした。こういう視点で見ていくと、登場人物に様々な歴史的背景が込められていることに気づけるかもしれません。

  • 映画舞台

    否定と肯定

    監督:ミック・ジャクソン
    (C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

    ホロコーストについて、ご存じでしょうか? 第二次世界大戦中にナチ・ドイツが行ったユダヤ人大量虐殺です。1990年代に、「ホロコーストはなかった」と主張する作家が、それを批判したユダヤ人女性歴史学者を名誉棄損で訴える事件が起こり、イギリスの司法制度のもとで、「ホロコースト」の存在をかけた法廷闘争が繰り広げられます。実際におこった裁判をもとにしたノンフィクション映画の傑作です。

日本語日本文化学科

  • 漫画アニメ

    ザネリ

    アーティスト: てにをは

    やや変わり種ですが、YouTubeで視聴できるアニメーションMVをご紹介します。日本の音楽家で小説家でもある“てにをは”さんが、2021年に公開した「ザネリ」(歌はボーカロイドのflower)。曲のタイトルは、宮澤賢治『銀河鉄道の夜』の脇役の名前です。主人公ジョバンニにとって意地悪な級友ザネリは、ある友人の命と引き換えに自分の命を救われました。何があっても変わることができない、愚かで愛しいヒロインという“てにをは”版のザネリは、小説の空白部分を埋める解釈としてとても魅力的です。ザネリは少女か少年か。小説世界のイメージを捉え直したくなるようなMVにアクセスして、ぜひ堪能してください。

  • 映画舞台

    君の名は。

    監督:新海誠
    (C)2016「君の名は。」製作委員会

    映画の開始から10分ほどのところで国語の授業風景が流れ、黄昏時(たそがれどき)の語源の話が入ります。先生は「夕方、、、世界の輪郭がぼやけて、人ならざるものに出会う時間」として「誰そ彼」(誰?あれは。)と黒板に記します。しかしなぜここで黄昏時の語源を説明するのしょう。実は「誰そ彼と我をな問ひそ」という万葉集2240番歌は「我をな問ひそ(私に聞くな)」とあることから「彼」が遠くの人を指すのではなく、単純に「誰?あなたは。」と解釈できます(古くカレは二人称にも使われました)。つまり、「誰そ彼」=「君の名は?」と読んだ方が、この歌が取り上げられている理由がよくわかるのではないでしょうか。

  • 漫画アニメ

    逃げ上手の若君

    著者:松井 優征
    (C)集英社

    『逃げ上手の若君』は、主人公の少年北条時行が仲間とともに父の仇である足利尊氏打倒を目指すという歴史マンガです。この作品は南北朝時代の軍記物語『太平記』に拠りつつ、大胆な改編が施された箇所もあります。例えば、楠木正成が亡くなる場面。『太平記』では足利軍との戦いに敗れ、「七度生まれ変わって必ず朝敵を討つ」と誓って自害します。天皇への忠義を示す名場面として、戦前は教科書にも取り上げられました。一方、『逃げ上手の若君』では、正成のこの誓いは、正成の命を惜しむ尊氏に対して冗談めかして直接伝えられています。作者は『太平記』の名場面を作り替え、敵ながらお互い認め合う関係性を巧みに描き出しているのです。

教育・臨床心理学科

  • 映画舞台

    リトル・ガール

    監督:セバスチャン・リフシッツ
    (C)AGAT FILMS & CIE - ARTE France - Final Cut for Real - 2020

    トランスジェンダーの子どもとその家族を描いたドキュメンタリー映画です。男性として生まれ2歳ごろから自分は女の子であると訴えてきた7歳のサシャは、バレエ教室で男の子の衣装を着せられ、学校では先生や生徒の無理解にさらされます。サシャの母親は自分に原因があるのではないかと苦しみますが、小児精神科医の言葉に救われます。サシャの両親は、彼女が自分らしく生きられるように学校や周囲に働きかけます。この映画には、救世主出現のような「劇的な展開」はありません。しかし、彼女たちを淡々と描くことによって、却って社会に根強く残るトランスジェンダーへの無理解と偏見を浮き彫りにし、わたしたちに社会のあり方を問いかけます。[推薦者:藤田]

  • 映画舞台

    映画プリキュアオールスターズF

    監督:田中裕太
    (C)2023 映画プリキュア
    オールスターズF製作委員会

    絶対的な強者が、弱者の物語を破壊して構築した世界(物語)に対して、どう対抗するのか。
    プリキュア20年の集大成として位置づけられた本作のテーマは奥深く、そして、教育・臨床心理学を学ぶ者にとって、強く惹きつけられるものとなっている。ひとり一人の小さな物語を紡ぎ合わせることで、支配的な物語に対抗するというアプローチを学んだ者であれば、本作でプリキュアたちが立ち向かっている対象と方法に対して理論的な理解をすることもできるだろう。そして、そのうえで、「自分たちの物語を再構築しよう」という形で、本作のメッセージを受け取ることもできるはずだ。
    そう、本作の主たるメッセージの宛て先は、かつてプリキュアたちとともに、「物語」を描いていたかつての少年少女たちなのだ。[推薦者:植上]

  • 漫画アニメ

    スキップとローファー

    著者:高松 美咲
    (C)講談社

    高校生と周囲の大人の日常を、冷たくも温かく、賑やかだが静かに、とにかく丁寧な筆致で描いた漫画作品。いつも前向きな主人公みつみも、見るからにモテる志摩くんも、美人だと目立つ村重さんも、人気者が苦手な久留米さんも、ファッションに詳しい江頭さんも、みつみの叔母のナオちゃんも……。登場人物は皆、まさに切れば血の出る人間で、弱くて、自分をもっと理解して欲しくて、孤独だ。でも、強くて、自分や他人を理解しようと足掻いていて、すでに誰かと共に在る。ひとを理解し、支えることに興味のある方は、ぜひ読んで欲しい。人間を深く知ろうと努めていると、しばしば人間賛歌に至る、ということを教えてくれる作品だから。[推薦者:山岸]

  • 漫画アニメ

    光とともに…~自閉症児を抱えて~

    著者:戸部 けいこ
    (C)秋田書店

    人とのかかわりが苦手な「自閉スペクトラム症」の「ひかるくん」とその家族のエピソードを描いた漫画です。特性のある子どもが暮らす家庭を実際に取材して、日常生活で子どもや家族が困ること、葛藤、また喜びなどが描かれています。特性のある子どもは、それぞれに得意なことや苦手なことがあります。そして、それは、みんなに当てはまり、私たちも一人ひとりで違います。苦手なことがあるなかでも、得意なことや小さな幸せを見つけることの大切に気づくことができる1冊です。[推薦者:徳永]

英語学科

  • 映画舞台

    ハリー・ポッター

    監督:クリス・コロンバス
    (C)Warner Bros.
    Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights (C)J.K.R. (C)2001 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

    『ハリー・ポッター』のホグワーツ魔法学校はお城のような校舎を持つ全寮制の学校で、4つ寮が競い合っています(「グリフィンドールに10点!」)。クディッチというスポーツでも寮対抗で大盛り上がり。架空の学校ですが、モデルはあります。パブリック・スクールと呼ばれるタイプの私立学校です。もともとはエリート層のための学校で学費も高額。スポーツ教育も盛んです。有名なパブリック・スクールにはラグビー校やイートン校があります。スポーツのラグビーの名称はラグビー校に由来します。そして、イートン校は「SPY×FAMILY」でアーニャが通うイーデン校のモデルでもあります。

  • 映画舞台

    マイ・フェア・レディ

    監督:ジョージ・キューカー
    (C)1964 Warner Bros. Pictures Inc., renewed (C)1992 CBS. CBS and related logos are trademarks of CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.

    ジョージ・バーナード・ショウの戯曲『ピグマリオン』に基づく映画です。その結末は、原作者であるショウが見たら怒ってしまうほど、彼の意図からずれたものとなっています。しかしながら、花売り娘からレディへと変貌を遂げるイライザは、話す言葉や身のこなしを変えても、はじめから変わらずに自分の気持ちもまわりの人の気持ちも大切にする人物であることは、映画でも原作でも同じです。そして、その姿は、性別、階級が異なっても人間は平等で、対等な関係を築くことができると考えたショウの理想を反映しています。ぜひ、映画と原作の違いを確かめて、味わってください。

  • 小説書籍

    欲望という名の電車

    著者:テネシー・ウィリアムズ
    翻訳:小田島 雄志
    (C)新潮社

    アメリカを代表する劇作家テネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams, 1911-1983)によって書かれた傑作戯曲(≒演劇の上演台本)でルイジアナ州ニューオーリンズを舞台に旧南部の貴族主義的価値観の崩壊を抒情的に描きます。1947年にニューヨークのブロードウェイで上演された後、51年に映画化もされています。戯曲の翻訳は文庫版で映画版はDVDで容易に手に入ります。単に鑑賞するだけではなく、映画化に際して何が変更されているのか気をつけながら原作と比較するのも面白いと思います。例えば、最終場面での展開は全く逆になっています。戯曲は比較的平易な英語で書かれているので英語が得意な方は是非原書にも挑戦してみて下さい。

  • 漫画アニメ

    名探偵コナン

    著者:青山 剛昌
    (C)小学館

    『名探偵コナン』の人名や地名には多くの元ネタがあります。江戸川コナンの姓は江戸川乱歩、名はシャーロック・ホームズの作者コナン・ドイルからとられていることは有名ですね。地名にもホームズ由来が多くあります。たとえば、米花町はホームズが暮らしたロンドンのベーカー街から。ベーカー街は実在の地名です。地下鉄ベーカー・ストリート駅のホームのタイルには、ホームズのシルエットや物語が描かれています。地下鉄から地上に出ればホームズの彫像。そして、ホームズの下宿があったとされる住所ベーカー街221Bには、現在はシャーロック・ホームズ博物館があります。『名探偵コナン』から文化・文学を学んでみてはいかがでしょうか?

  • 小説書籍

    くまのパディントン

    著者:マイケル・ボンド
    翻訳:松岡 享子
    (C)福音館書店

    赤い帽子に青いコート。映画にもなった人気キャラクターは、ドジな失敗で笑わせてくれます。実はこのクマさん、背景がフクザツです。南米からロンドンにやってきて、ある家族に拾われます。一家が住むのはノッティング・ヒルという住宅街。現在は高級住宅街ですが、原作が出版される数か月前には、移民が襲撃された人種暴動がおこった土地です。そう、パディントンは南米からの「移民」です。ドジな失敗は、風習のわからない土地で悪戦苦闘する移民の苦労でもあります。そして、彼が暮らす家族の名は「ブラウン」家で、白でも黒でも受け入れます。かわいいキャラクターも一皮むけば、社会の様子が見えてきます。

ドイツ語学科

  • 映画舞台

    千と千尋の神隠し

    監督:宮崎駿
    (C)2001 Studio Ghibli・NDDTM

    スタジオジブリの宮崎駿監督は幼少期から様々な形で「ドイツ」に接し、「ドイツ」から滋養を得ていました。それらは全て宮崎作品の中に結晶化しています。『千と千尋の神隠し』の冒頭で千尋の父親が運転しているのはドイツ製の車、メルセデス・ベンツ。宮崎アニメにおける「ドイツ」は、そのような目にみえる形だけでありません。そもそもこの作品の下敷きにはドイツの児童文学作家オットフリート・プロイスラーの作品『クラバート』があるのです。なぜ千尋は働かなければならなくなったのか。豚に変身した両親をなぜ千尋は見つけ出せるのか。それは『クラバート』を読めば分かります。

  • 映画舞台

    Liebes Kind/Dear Child

    監督:イザベル・クレーフェルト/ユリアン・ペルクセン

    „Liebes Kind“(Netflixのタイトルは『Dear Child』)は、ドイツ人のロミー・ハウスマンによる小説である。このスリラーはとても面白く書かれているので、この本を推薦したい。しかし残念ながら、この本はまだ日本語に翻訳されてない。ただし、今年、Netflixがその本をドラマにして6部構成で公開している。
    その物語は、ある女性が窓のない小屋から脱出するところから始まる。彼女はその小屋で、長い間誘拐犯に捕らわれていた2人の子供と暮らしていた。誘拐された女性は、13年間未解決の行方不明者レナ・ベック事件にも関係していた。脱出に成功した後、女性は事故に遭い、娘のハンナと一緒に病院に運ばれる。
    レナ・ベックに何が起こったのか、そして脱走した女性は誰なのか?話の続きを知りたければ、このミニシリーズを絶対にお勧めする。

  • 映画舞台

    Dark

    製作総指揮:バラン・ボー・オダー/ヤンチェ・フリーゼ

    ドイツでSFドラマはとても珍しいのだが、最近、Netflixに面白くてわくわくする作品が登場した。そのタイトルは「Dark」。ストーリーだけではなく、ドイツの歴史も楽しめるに違いない。Netflixでは、ドイツ語音声にも日本語の字幕を付けられるので安心だ。

  • 漫画アニメ

    SPY×FAMILY

    著者:遠藤 達哉
    (C)集英社

    遠藤達哉の描く漫画『スパイファミリー』。世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代、東西の間に鉄のカーテンが下り、隣り合う東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)の間には仮初の平和が成り立っていた……という『スパイファミリー』の設定は、冷戦下、東ドイツと西ドイツに分断されていた時代の様相が色濃く描き出されています。ドイツの歴史と事情を学ぶことで、漫画の背景を深く探ってみませんか?

  • 漫画アニメ

    ベルリンうわの空

    著者:香山 哲
    (C)イースト・プレス

    ベルリン在住の日本人漫画家が、ドイツでの日常生活と文化について漫画を描いているのを、ご存じでしょうか。そのイラストは、ベルリンのアンダーグラウンドコミックススタイルの模倣なので、「ドイツ風」の味を感じられます。ドイツのフツウが知りたかったら、お勧めのMangaです。

  • 漫画アニメ

    裏切りのスワスチカ(『ゴルゴ13』61巻所収)

    著者:さいとう たかを
    (C)リイド社

    その他,以下に挙げた話も全てドイツ(オーストリア、スイス等のドイツ語圏も含む)と大きく関わりを持つ作品です。
    ビッグ・セイフ作戦(1巻)/魔笛のシュツカ(6巻)/アラスカ工作員,鎮魂歌に牙を,リオの葬送,ハーケンクロイツは滅びず,ラ・カルナバル(以上10巻)/幽霊定期便(19巻)/スキャンダルの未払い金(29巻)/レイプ数え唄(31巻)/ヒューム卿最後の事件(45巻)/沸騰,沸騰・第四帝国(以上52巻)/崩壊・第四帝国・狼の巣(53巻)/ジーク・ハイル!!(59巻)/ロメオたちの西側(87巻)/ドイツはひとつ(91巻)/情報漏洩源(96巻)/最後の顧客(97巻)/五十年の孤独(93巻)/北海の煙突船(117巻)/総統の揺りかご(133巻)/真のベルリン市民(152巻)/螺旋(165巻)/ドナウ・ライン迷路(168巻)/東ドイツの残骸(172巻)/ハインリッヒの法則(173巻)/凋落した名車(181巻)/天空の毒牙(185巻)/欧州再生EU自動車戦争(200巻)/ロンメル将軍の財宝(203巻)

フランス語学科

  • 映画舞台

    アメリ

    監督:ジャン=ピエール・ジュネ
    (C)VICTOIRES PRODUCTIONS TAPIOCA FILMS FRANCE 3 CINEMA

    内気で不器用なアメリは、お気に入りのおやつクレーム・ブリュレの表面を割る、サンマルタン運河で石を投げ水切りをするなど、一人遊びに興じ空想に耽る孤独な子供時代を過ごしていた。そんな自分の殻に閉じこもる少女が、置き忘れられた他人の証明写真収集が趣味の不思議少年ニノに出会って恋を知り、人を幸せにする喜びを知る―― モンマルトルの丘を中心に、カフェ、地下鉄、アパルトマンなどパリの下町の風景が、想像力豊かな少女のまなざしを通してファンタジックに描かれます。アコーディオンの物憂い音色にのせて繰り広げられるどこかノスタルジックな映像美。大人への階段を上がる少女の世界にしばし浸ってみませんか。

  • 映画舞台

    スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~

    監督:エリック・トレダノ/エリック・ナカシュ
    (C)2019 ADNP‐TEN CINEMA‐GAUMONT‐TF1 FILMS PRODUCTION‐BELGA PRODUCTIONS‐QUAD+TEN

    フランスはオシャレでシックなだけじゃない。様々な文化と宗教がせめぎあう多民族国家、貧困と暴力の温床となる移民問題も抱えています。そんな共和国の今が垣間見えるのがこの映画。一般施設では手に負えない重度の自閉症児を受け入れるブリュノ、ドロップアウトした移民出身の若者たちを更生させるマリク、二人の男がタッグを組み、社会から落ちこぼれた子供たちを救おうと奮闘します。しかしこの赤字経営の無認可施設「正義の声」、ついに政府の監査のメスが入り経営危機に--『最強のふたり』のエリック・トレダノ&エリック・ナカシュ名コンビ監督が描く、男たちの熱い友情と連帯の物語、共に生きることの意味を問いかけます。

  • 映画舞台

    スパニッシュ・アパートメント

    監督:セドリック・クラピッシュ
    (C)2003 TWENTIETH CENTURY FOX

    パリの大学生グザヴィエは、就職に備えてスペイン語を習得すべく、バルセロナに1年間留学します。家賃を安上がりにしようとヨーロッパ各国の留学生とルームシェアをしますが、個性派ぞろいの彼らとの共同生活は、言語と文化の違いもあってトラブル続き。そのコミカルに描かれた異文化体験も見どころですが、何より恋愛の悩み、親との葛藤、将来の不安、それぞれが抱える問題を率直に語り合い、ぶつかり合いながらも真摯に向き合い、今を精一杯生きる若者たちの姿が共感を呼びます。これから大学生になるみなさんの期待を裏切らない、笑いと涙の青春群像劇、ぜひご堪能あれ。

  • 映画舞台

    ココ・アヴァン・シャネル

    監督:アンヌ・フォンテーヌ
    (C)2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

    「美しさは、あなたがあなたらしくいると決めた時に始まる」――現代女性のファッションに革命を起こしたガブリエル・シャネルは、その凛とした佇まいが印象的な、意志の強い自由闊達な女性でした。片田舎のキャバレーからパリへ、世界へ、財産も教育も人脈もない孤児院育ちの少女が、モード界を席巻する伝説のデザイナーになるまでの成功秘話を映画化。その半生を彩る二人の男、華やかな社交界に彼女を導いたエチエンヌ・バルサン、「本当に愛した唯一の男」と彼女に言わしめたアーサー・カペルとの恋を描きつつ、女性の身体を解き放ち、既成の価値観に挑戦してきた反骨の人シャネルの美学を浮き彫りにします。中身から美しくなりたいすべての女子必見!

  • 漫画アニメ

    ニュクスの角灯(ランタン)

    著者:高浜 寛
    (C)リイド社

    舞台は、巨万の富を築いた海外貿易商のひしめく明治初期の長崎。西南戦争で親を亡くした美世は、奉公先を求めて道具屋「蛮(ばん)」の扉を叩く。そこで出会ったのは、進取果敢な店主・小浦百年(ももとし)と、彼がパリ万国博覧会で仕入れてきた夢のような舶来品の数々。野心家の彼は日本の工芸品を海外へ売り込むことももくろんでいた。才気あふれる青年の手ほどきを受けて世界に羽ばたくこの少女の成長物語は、ヨーロッパが最も繁栄を極めたベルエポック(仏語で「美しい時代」の意)の時代背景のみならず、日仏交流の歴史もうかがい知れる、今まさに未知の世界へ冒険に乗り出そうとしているみなさんに贈りたい一冊です。

  • 漫画アニメ

    エルメスの道

    著者:竹宮 惠子
    (C)中央公論新社

    最上の品質と美、エルメスの歴史がここにある。

  • 小説書籍

    不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人~心が自由になる生き方のヒント

    著者:西村・プぺ・カリン
    (C)大和書房

    フランス人の「気楽さ」の秘密とは?

東アジア地域言語学科

  • 映画舞台

    ラストエンペラー

    監督:ベルナルド・ベルトルッチ
    (C)1987 THE RECORDED PICTURE COMPANY.YANCO FILMS LTAO FILMS.S.R.L.ALL RIGHTS RESERVED

    清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀の伝記『わが半生』をベースに製作された叙事詩的映画、歴史映画。わずか3歳で皇帝に即位した溥儀が6歳で退位した後、どのような人生を歩んだのか。満州事変以降の日中関係の基本的な流れをわかりやすく学ぶことができ、加えて第二次世界大戦終戦時にソ連に身柄を拘束された溥儀が中華人民共和国成立後に中国に身柄を引き渡され、その後、中国でどのような人生を歩んだのか。東アジア地域言語学科教授の大澤武司著『毛沢東の対日戦犯裁判』(中央公論新社、2016年)と合わせて読むことで、今日に至る日中間における戦後処理、特に戦犯処理問題に関する理解を深めることができる。

  • 映画舞台

    小さき麦の物語

    監督:李睿珺
    (C)2022 Qizi Films Limited, Beijing J.Q. Spring Pictures Company Limited. All Rights Reserved.

    中国のニュースは日々大量に報道されていますが、政治や経済に関わるものがほとんどです。この映画は2010年代の中国西北部の農村を舞台とした、決して豊かではない夫婦の物語です。わたしは2000年代初頭をこうした農村で過ごしましたので、映画の中のやり取りには懐かしさをおぼえました。是非、わたしたちと同じ人が暮らし、生活を営む中国の側面を知ってほしいですし、そのうえで、何か共感をおぼえることがあるとすればうれしく思います。そうした関心を持つ皆さんには本学科での学びに向いていると思います。
    同じく、西北の農村の映画として、『延安の娘』(池谷薫監督、2002年)も強くお勧めします。

  • 映画舞台

    メッセージ

    監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
    (C)2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved.

    テッド・チャンの単編小説『あなたの人生の物語』を映画化したものです。‘言葉というのは文明の基盤である。言葉は人々を1つにする接着剤にもなり、戦いでの最初の武器にもなる’、これは映画の中のセリフですが、言語に興味を持っている方が楽しく鑑賞できるSF映画です。

  • 映画舞台

    道:白磁の人

    監督:高橋伴明
    (C)2012「道~白磁の人~」フィルムパートナーズ

    江宮隆之の『白磁の人』(河出文庫、2010年)をもとにした映画で、朝鮮半島の植民地時代(1910~1945年)に植民地朝鮮に渡って朝鮮人と朝鮮文化を愛するようになった浅川巧(1891~1931)の人生を描いています。現在まで続いている日韓の歴史認識の問題など、今と将来の日韓・日朝関係において、私たちに異文化を理解しようとする姿勢と交流の大事さを伝えてくれる作品です。

  • 小説書籍

    82年生まれ、キム・ジヨン

    著者:チョ・ナムジュ
    翻訳:斉藤 麻理子
    (C)筑摩書房

    韓国で136万部を突破し、映画化(チョン・ユミ、コン・ユ主演)もされた作品。BTSやRed Velvet、少女時代といったK-POPアイドルもこの本を読みSNSで言及するなど、一種の社会現象ともなりました。韓国の女性たちが経験する、ある意味でごく「当たり前」の人生が、誕生から学生時代、就職、結婚、育児と、克明に描かれています。日本でも多くの共感を呼んだこの小説からは、韓国の社会問題だけでなく、多くのことを考えさせられるでしょう。

  • 小説書籍

    香港―あなたはどこへ向かうのか

    著者:阿古 智子
    (C)出版舎ジグ

    1997年にイギリスから中国に返還された香港。清(中国)が1842年のアヘン戦争に敗北した結果、香港はイギリスの植民地となったが、議会制民主主義をとるイギリスのもとで150年以上にわたり民主主義に基づく政治が維持されてきた。だが、「社会主義」中国に「返還」された香港ではその民主主義が危機に瀕しているという。これからの「大国」中国を考えるために重要な示唆を与えてくれる必読の書。

  • 小説書籍

    三体

    著者:劉慈欣
    翻訳:大森望/光吉さくら/ワン・チャイ
    監修:立原透耶
    (C)早川書房

    中国で出版されるやいなや爆発的な人気となり、その後世界20カ国以上で翻訳出版されています。2015年にはSF小説の最高峰であるヒューゴー賞を翻訳書として、アジア人作家として初めて受賞。ドラマ化もされており、中国SF小説の代表作として高く評価されています。
    物語は科学者である複数の登場人物の話が並行して進んでいき、オンラインVRゲームを通じた謎解きや異星人との交信など、壮大なスケールと圧倒的なストーリーに引き込まれます。中国古典文学や神話の要素を借用するなど、独特の物語スタイルを形成しており、深い思想的含意もあります。作品を通じて中国社会を知ることにもつながるでしょう。