福岡大学 人文学部 福岡大学 人文学部

教育・臨床心理学科

学科トピックス

2025.03.31

令和6年度 学科卒業式・大学院専攻修了式が挙行されました。

教育・臨床心理学科では、学部と大学院の専攻修了式を合同で開催しています。本学科の教員は大学院人文科学研究科 教育・臨床心理学専攻の教員を兼務しており、大学院の修了生の中には、学部から進学したひとも多いからです。大学院と連携した教育を行う本学科ならではの卒業式の風景です。

<学科主任 お祝いのことば>
学科教員を代表して、お祝いの言葉を申し上げます。
卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。ご家族のみなさまにも、お祝いとお礼を申し上げます。

本年度の教育・臨床心理学科の卒業生は、116人です。
今日この日を迎えるにあたって、116通りのドラマや物語があったのだと思います。
楽しいことだけはなかったでしょう。涙を流すくらい悔しいこと、悲しいこと、挫折もあったかもしれません。だけど、今みなさんはここにいる。この日を迎えることができた自分自身を褒めてください。

手元の学位記をごらんください。教育・臨床心理学科の全教育課程を終えた証です。学生が卒業時に身につけているべき能力の目標として、学位授与の方針を定め公開しています。ディプロマ・ポリシー。新入生ガイダンスでさっそく登場しましたし、各授業のシラバスにも示されてましたね。卒業後は、もう目にすることもなくなりますので、読みます。
LP(教育・臨床心理学科の略称)での学びを思い起こしながら聞いてください。

【知識・理解】
・教育学と臨床心理学の理論を理解し、教育現場や臨床現場の諸相を多角的に説明することができる。
・多様な人々の生涯にわたるキャリア形成を支援するための知識を身に付け、支援のあり方を説明することができる。

【技能】
・他者の意見に傾聴し、自らの意見を明確に表現することを通して、コミュニケーションを円滑に進めることができる。
・教育現場や臨床現場を含めた地域社会・組織の課題を発見・同定し、課題解決に向けたアイデアを提案することができる。
・共生社会の実情について、学問的知識を使いながら、多様な立場から批判的に考えることができる。

【態度・志向性】
・「人」に興味を持ち、多様な人々の考えを柔軟に受け入れる態度を有している。
・教育現場や臨床現場における新たな課題にチャレンジするために、新しい知識や技能を積極的に学ぶ姿勢をもっている。
・共生社会の担い手として、主体的に社会に参画する意欲を有している。

これらの力を習得したという証が卒業証書です。LPの卒業生として自身の生き方を磨き続け、他者の生き方をサポートし、よりよい社会をつくる担い手になってください。ただし、ひとつだけお願いです。人を助けるには、まず自分が無事であること。これが大前提です。
といっても、この言葉は、実は、まったくの受け売りです。出典は、少年漫画と政府刊行物です。『僕のヒーローアカデミア』の悩める主人公・緑谷出久は、「人を救けるには、まず自分が無事でなきゃ!」と言っています。内閣府の『防災の手引き』にも、「身のまわりの人を助けるには、まず自分自身が無事でなければなりません。「自助」があっての「共助」です」と書かれいています。

出典との出会いについて補足説明します。わたしの演習形式の授業では、呼ばれたい名前で呼びあうようにしています。「オールマイト」と名乗った学生がいました。まったく知らない世界でした。その学生の「呼ばれたい名前」の由来を理解するためにも、アニメを観てみることにしました。はまりました。友情・努力・勝利という少年ジャンプの王道的な路線だけでなく、エリクソンのいう世代継承性の物語でもあるのです。
『防災の手引き』を読むきっかけは、防災士の資格をもたれていた公民館の館長さんに触発されたからです。病気を押して仕事をされていたのですが、自らご勇退されました。元気だった頃の館長さんを思い浮かべながら読んだ『防災の手引き』でした。

人生を生きるうえで大事なことは、いろんな媒体で発信されていますし、いろんな人との出会いの中に新たな学びの扉が転がっています。ぜひ、みなさんも、学びのアンテナの感度をあげた生活を心掛けてください。
以上で、お祝いの言葉とさせていただきます。本日はおめでとうございました。

令和6年3月19日 教育・臨床心理学科主任 添田祥史