学科トピックス
2025.11.21
小松和彦先生による特別講演会を開催しました(11月18日)
異界・妖怪研究の第一人者であり、令和7年度文化勲章の受章者である小松和彦先生(国際日本文化研究センター名誉教授)をお招きし、特別講演会「研究は楽しい謎解き―私の学問(妖怪学)を振り返って―」を開催しました。司会は、小松先生の弟子の髙岡弘幸先生(文化学科)が務めました。
『信貴山縁起絵巻』には「空飛ぶ鉢(空鉢)」が描かれています。「なぜ鉢が空を飛ぶのか?」「なぜ鉢が米俵を運ぶのか?」といった、一見すると素朴な謎に真剣に向き合って解明してゆくというのが小松先生の研究スタイルでした。その後も、百鬼夜行や付喪神などの多様な怪異の謎をつぎつぎと解き明かすことで、妖怪を日本文化史に位置付けながら、妖怪学という新しい学問領域を築いてきた小松先生の「楽しい謎解き人生」についてお話しいただきました。
当日は、文化学科に限らず多くの学生・教職員が参加し、全員が熱心に耳を傾けました。質疑応答も大いに盛り上がり、終了予定時刻を大幅に超えるほどでした。とくに学生からの質問が活発で、「小松先生が一番好きな妖怪は何ですか?」という問いには、「(小豆洗いやタヌキ囃子など)音に関わる妖怪が気になります」と笑顔で答えてくださるなど、どの質問にも丁寧に応じていただきました。学生はもちろん、教職員にとっても深い学びとなった講演会でした。
小松先生にはご多忙のなかご登壇いただきましたこと、あらためて厚く御礼申し上げます。
なお本年、小松先生監修による『怪異・妖怪学コレクション』(全6巻、河出書房新社)が刊行されました。その第3巻『現代を生きる怪異・妖怪』には,髙岡先生の論文「幽霊の変容・都市の変貌――民俗学的近・現代研究に向けての試論」も収録されています。
講演される小松先生
会場には多くの学生・教職員等が集まる