学科トピックス
2026.01.23
ローン・オフェンダー対策の肝は情報共有,テロ対策会議で講演(大上 渉教授)
大上 渉教授による研究・社会貢献活動に関する報告です。
1月16日,熊本県警察本部において,「テロ対策パートナーシップ推進会議くまもと」定例会に出席し,「犯罪心理学からみた官民連携によるローン・オフェンダーテロ対策」という題目で講演しました。
同会議は,熊本県警警備部を中心に,空港・鉄道などの交通機関,電力・ガス・通信等のライフライン,大型商業施設,体育館・ホール等の集客施設,観光・宿泊施設,金融・医療など,県内の40数機関が分野横断で参画し,「テロを許さない街づくり」を掲げて平時から未然防止を進める枠組みです。
講演では,ローン・オフェンダーテロと無差別殺傷事案の相違点を整理した上で,刃物や車両といった「日常的な道具」が凶器になり得る点(いわゆる“easy-to-use tools for terrorism”),犯行前の意図表出(リーケージ)を手がかりにした早期検知の視点などを共有しました。さらに,銃器や爆発物に焦点を当てた監視だけでは限界があるため,「物」だけでなく「人」にも焦点を当てる必要性を申し上げました。
とりわけ,施設・サービスの運営を担う民間の方々だからこそ,普段とのズレや,説明しにくい違和感に気づけることがあります。そうした気づきを埋もれさせず,警察と共有してつなぐことが,未然防止では重要です。
合理的選択理論やCPTED等の防犯理論と,多層防御(スイス・チーズモデル)を踏まえ,官民の気づきをつなぐ情報共有こそが,テロ対策,とりわけローン・オフェンダー対策の肝要である,という点を共有いたしました。
講演する大上 渉教授(左奥)