福岡大学 人文学部 福岡大学 人文学部

フランス語学科

学科トピックス

2023.04.05

春の語学研修、いざベルギーへ、パリへ!

去る2月11日(土)~3月10日(金)の1ヶ月にわたって、フランス語学科2年生・3年生、合計37名がベルギーはル―ヴァンに3週間、フランスはパリに1週間、現地研修に行ってまいりました。

コロナ禍ようやく明け、2年ぶりの渡航再開。昨年渡航を見送った学生も加わって35名の大所帯、アンティエ先生と小池先生の引率で、台湾経由の長時間フライトとなりました。台北での10時間ものトランジットでくたくたになるも、憧れの海外生活に心弾みます。
心待ちにしていた現地研修、香音さんにお話を聞きました。

パリ到着後ほっとするのもつかの間、今度はバスに乗り換え3時間、ブリュッセルを通過しルーヴァンに着くと、ヨーロッパの田舎町らしいのどかな風景が広がります。

それぞれアパルトマンに落ち着くと、早速語学学校での授業が始まります。平日は午前も午後もみっちり。2・3年生混交クラスで、何より先輩のフランス語力に驚かされた様子。2年生も負けじと理解力、発信力を鍛えます。

ビール醸造の過程を学んだり、『星の王子さま』朗読発表会をしたりと、文化面でもベルギー・フランスをより深く知ることができました。
  • 熱心なパスカル先生の授業、集中して取り組みます
とりわけ印象に残ったのは、日本語を学ぶベルギー人学生との交流の夕べ。各グループそれぞれ、折り紙や習字、浴衣など様々な日本の伝統文化を紹介する体験型のワークショップを企画しました。香音さんのチームは神道をテーマにしたとのこと。
  • 段ボールで絵馬を作り願い事を書いてもらったり、手作りおみくじを引いてもらったり
  • 習字のワークショップ。外国人の日本語学習者には、表意文字の漢字は象形文字のように目新しく感じるよう
1週間の授業を終えると、週末にはブリュッセルなどベルギーの他の都市に小旅行。いざブリュッセルに着くと、その街並みの美しさにただただ感服、石造りの建造物から歴史の重みを感じます。

かつてブラバン公爵が所有していたブリュッセル王宮は、今では国賓を迎える式典などに使われており、一般公開は夏限定とのこと。サン=ミシェル大聖堂は、着工から300年の時を経て完成したロマネスク建築で、王室の戴冠式が行われる要地です。
  • ブリュッセル王宮前にて
  • サンミシェル大聖堂前にてみんなで記念写真撮影
ブリュッセルの中心広場グラン・プラスは世界遺産にもなっており、ゴシック建築の美しい市庁舎が建っています。96mもの高い尖塔にそびえるのは大天使ミカエルの彫像だそう。

そして何より本場のワッフルは、大きさもさることながら、味も絶品!イチゴがのったチョコレートソースがけの豪華なものも美味しいけれど、メープルシロップのみのシンプルなのが一番だとか。
ブリュッセル観光スポットの穴場、ギャルリー・サンテュベールでウィンドーショッピングも楽しみました。全長約200メートルも続くアーケード街で、ガラス張りのアーチ型の屋根が素敵。高級ブランド店やブティック、おしゃれなカフェなどが並びます。
  • アーケード街でスイーツ巡り♪
  • 老舗のショコラティエ。甘すぎず上品な味わい。日本人の店員さんもいらっしゃいます
3週間の集中授業、一生懸命話すも通じなかったりで悔しい思いもしましたが、フランス語のシャワーを浴びて、最初暗号のように聞こえていたの言葉が、帰る頃にはぽんぽん頭に入ってくるキーワードから、大まかには理解できるようになっていたとのこと。

そして何より楽しかったのは日々の自炊。アパルトマン滞在で、近隣のスーパーに日々の食材を買い出しに行き、不器用ながらも料理をして友達と食卓を共にする時間は、忘れがたい思い出です。ベルギーの地方都市にじっくり3週間、旅行とは一味違う、現地の生活を愉しむ貴重な経験ができました。

3週間の語学研修を終え、観光に訪れたパリでは、エッフェル塔や凱旋門などの有名どころは言うまでもありませんが、何より絵画との決定的な出会いがあったとのこと。ロマン主義絵画の名作ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』や、壁画級の大きさを誇る『ナポレオンの戴冠式』、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケなど、中学生の頃から美術書で見て心惹かれていた絵画たち、ルーブル美術館で見た本物は圧巻でした。
  • 『民衆を導く自由の女神』、マリアンヌは自由を体現する近代の神話、実在しない人物だそう
  • ルーブル宮、アポロンの間の天井画
ルーブル宮、アポロンの間の天井画や、歴代フランス国王・王妃が身に付けていた宝飾品が鑑賞できます。現存する唯一の王冠もあるそう。

以前よりモネをはじめとする印象派に関心があった彼女、改めて絵画全般についてもっと知りたい、調べたくなったとのこと。それまでアトリエに籠り想像上の神話の神々を描いていた画家たちは、近代化の流れの中で携帯可能な画材の発達により、工房を出て外光を発見しました。自然光の下、万華鏡のように刻一刻と七変化する世界の多様性に画家たちは魅了されたのです。目を患いながらも、世界の豊かな諸相を最後までカンバスに表現し続けたモネ、その生涯と美学についてもっと知りたいとの思いです。卒業論文に向け、一歩前進です。
1ヶ月にわたる初めてのヨーロッパ滞在。長いようであっという間、仲間と過ごす時間も充実していたけれど、悠久の時を刻む欧州の地で自分と向き合う時間もあり、来し方行く末にそれぞれ思いを馳せた様子。ほんの少し成長したかもしれませんね。
夜のエッフェル塔をバックに、もう気分は大人可愛いパリジェンヌ