福岡大学 人文学部 福岡大学 人文学部

フランス語学科

学科トピックス

2023.10.13

福大生の留学だより~ルーヴァン・カトリック大学より

コロナ禍を乗り越え昨年9月より1年間、福岡大学協定校のひとつベルギーのルーヴァン・カトリック大学に、フランス語学科より交換留学生が2名派遣されました。

 出発から早いもので1年、7月末に無事帰国した汐音さんに、これまでの留学生活のあれこれ、お話を聞きました。コロナ禍2度も渡航中止の憂き目にあい、一度は諦めかけた夢。ようやく実現できた留学生活、めいっぱい満喫して多くの学びを得たようで、我々教員も嬉しい限りです。
美しいゴシック建築の市庁舎の建つブリュッセル中心広場グラン・プラスにて
留学プログラムは、ルーヴァン大学人文学部の開講科目をいくつか履修しつつ、フランス語や英語学習を同時に進めるというもの。学部の授業はついていくのがやっとですが、外国人留学生対象のベルギーについての授業は大変興味深く、文化理解が深まったとのこと。

宗教戦争など複雑な歴史的背景を持ったベルギーは、公用語としてフランス語のほかにオランダ語(フラマン語)、ドイツ語が認められており、これら3言語がせめぎあう多言語国家。この言語闘争は政治対立・経済格差の問題を孕んでいるだけに根が深く、オランダ語圏でフランス語を話すくらいなら英語で話した方がよっぽどまし、というほど。とはいえ若い世代はそこまでのヘイト感情はなく、多言語共生に向かうベルギーの未来像は明るいのかもしれません。

ベルギー特有のフランス語も学んだとのこと。独特な訛りに加え、数え方が英語と同じ十進法(むしろフランスの二十進法の方が珍しいわけですが...)。またベルギーはヨーロッパ北部特有の雨がちな気候で、晴れの日は数えるほど。突然の集中豪雨に見舞われるのは日常茶飯事、そうしたゲリラ豪雨を指す drache という言葉も教わりました。
ベルギーの八重桜
滞在形態は大学寮が基本ですが、思い切って自らホームステイ先を探した彼女、ホストファザーとの素敵な出会いがありました。思い出を数え上げればきりがないほど。

 ホームシックで辛かった留学当初、日々励ましてもらったこと。週末にはあちこちドライブに連れ出してもらい、クリスマスには30人もの親戚を迎えての盛大なパーティーに家族同様に加えてもらったこと。誕生日はパリ旅行で祝ってもらい、新オペラ座でのバレエ公演『ボレロ』に招待してもらったこと。年度修了後は帰国のカウントダウンが始まるなか、行きたいところを一緒にリストアップ、毎週予定がぎっしりで、フランス横断旅行で最後の思い出作りをしたそう。

 また日本学学科を擁するルーヴァン大学ならでは、日本語を学ぶベルギー人の友達もでき、家に食事に招いてもらったり、漫画やアニメの話で盛り上がったり。文学全般に詳しい彼女の話はおもしろく、大学の授業以上に学びが多かったとのこと。
スト好き体質は隣国フランス譲り、またスリや強盗、いくら慣れても気が抜けない治安の問題、こればかりはいたしかたないですが、想像していたような東洋人差別は一切なく、アジア人にはむしろフレンドリー。ホストファザーに始まり多くのベルギーのひとびとの温かさにふれ、文化の違いに戸惑いながらも、外国生活の醍醐味を存分に味わってきた様子。

1年の留学を終え、フランス語の理解力・発信力が格段に上がったうえに、一回りも二回りも成長した汐音さん。そして何より人は人、私は私で、自分に自信が持てるようになったという彼女、これからも自分の道を邁進していってほしいと思います。

教員一同、心よりエールを送ります。

Bon courage à toi, nous sommes sûrs que tu trouveras ta voie !
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(左)ブリュッセル近郊オランダ語地区のチューリップ畑
(右)ホストファザーの案内でローマ旅行。スペイン広場そばのレストランにて美味しいパスタを♪